キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
「いや、葵……体調は大丈夫なのか?」


五十嵐先生の提案に、心配の様子を見せる父。

それもそうだろう。退院してから間もないのに、出かけようとしているのだ。
心配するのは当たり前だと思う。

それでも、相手は優秀なドクターだ。
私の病状を理解しているからこそ、無理をさせるようなことは絶対にしない。

五十嵐先生はそういう人だと、この入院期間で知ることができたから。


「お父さん、相手はドクターだよ。大丈夫」

「そうよ。葵の病気のこと、1番知っている人なんだから」


姉も一緒になって、父にそう言ってくれる。

心配しているのは姉だって同じだろう。
でも、相手がドクターだと知って私の背中を押してくれているようだ。


「……無理だけはしないでくれ。頼むぞ」

「それはお父さんの言う通りよ。なにかあってからでは遅いんだから」

「はい。わかりました」


……よかった。了承してくれて。
これでダメだったら、後日メッセージかなにかで自分の気持ちを伝えるつもりだったけれど、その必要はなさそうだ。

会って、ちゃんと顔を見て。私の気持ちを伝えることができそう。


「さて。夕飯の支度でもしようかしら。成海も食べて帰るでしょう?」

「もちろん。お母さんのご飯、久しぶりだもん」


それを聞いて、嬉しそうな母。

ソファーから立ち上がった母はキッチンへと戻り、夕食である鍋焼きうどんの支度に取り掛かり始めた。
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