キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
その日の夕食は、なんだか特別なように感じた。

今まで一緒に食事をしていたのに。
2週間ぶりだから? 姉も一緒だから?

もう5月のゴールデンウイーク手前で気候も暖かいのに、母の作った鍋焼きうどんは美味しくて。

病院食が味気なかったということもあるかもしれないけれど、美味しさに泣いてしまいそうになった。
なんとか誤魔化したけれど、姉は気が付いていたようだ。



「食事のとき、泣いてた?」

「うん、少しだけね」


食事が終って入浴も済ませたあと、姉が部屋に温かいはちみつミルクを運んで来てくれた。

やっぱり泣いていたこと、知ってたんだ。
さすが、私の姉だ。

こういうところは、どうも敏感らしい。


「辛かったでしょ?」

「まぁね。色々なことが変わったもん。辛くないわけないよ」

「帰るのが遅くなってごめんね」

「え、それはいいよ。お姉ちゃん、仕事忙しいでしょ?」


「そうね……」と、姉はコーヒーが入ったカップを口にする。

年度が変わり、新しいクラスの担任である姉は忙しいはずだ。
今回の休みだって、なかなか取れなかったらしいから。


「あのね、言おうか迷ったんだけど」

「なに?」


コーヒーカップを置いて、改まって私と向き合った姉は、まだなにか迷いがあるような表情。

姉がこんな風になっているのは珍しい。
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