キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
「ま、そういう人なんでしょうね」と言いながら、再び電子カルテに目を移す森脇さん。

〝深入りしないこと〟がモットーの彼女は、こんな感じでさっぱりしている。

まぁ……患者さんに不愛想に振舞われるよりよっぽどいいか。
中には患者さんに強い口調で発言するドクターもいて、クレームになるケースもある。

そんな風に揉め事になるくらいなら、私だけに不愛想にしてくれているだけマシなのかもしれない。


「あんまり深く考えなくていいよ。じゃあ私、ちょっとケモ室の様子見てくるからね」

「はい。お願いします」


私がそう言うと、少しだけふっくらしたお腹をなでながら化学療法室へと向かった森脇さん。
抗がん剤治療を受けている患者さんの、様子を見に行ったようだ。

それが終れば、明日、抗がん剤治療を受ける患者さんの点滴バッグの準備をしたりと、ケモ室は1日中忙しい。

それでも〝癌と戦う患者さんのために〟と、妊娠してもギリギリまで勤務する予定なのだという。
彼女の強さには、驚かさせるばかりだ。


「私も、明日の予習しておこうかな」


受付に置いてある電子カルテにログインしてから明日の日付を指定すると、明日受診予定の患者さんの名前がずらりと表示された。

明日受診予定の患者さんは、35名。
そのうち紹介患者が3名……って、これも五十嵐先生が前の病院から引き抜いてきた患者さんだ。
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