キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
いいことを言われるのか、よくないことを言われるのか。
まったく想像がつかなくて『ゴクリ』と生唾を飲み込んだ。


「あのね。私……結婚しようと思ってて」

「えっ? もしかして、ずっと付き合ってたあの人?」


突然の報告に、私ははちみつミルクが入ったマグカップを置いて身を乗り出した。

まさか、そんなおめでたい報告だったとは。
言うのを渋っていたから、よくないことでも言われるのかと思っていたけれど、真逆の報告に安堵する。


「そう。葵も知っているあの人。でも、今は葵が大変だし……」

「あぁ、だから言いにくそうにしてたの? そんなこと気にしなくていいのに」


私の言葉に、姉の表情が少し緩む。
多分、姉の結婚の話が出たのは私の病気がわかる前だ。

以前家に来たとき1度だけ見たことがある姉の彼氏は、姉の1つ年上で同じ教師をしているらしい。

付き合って3年ほど経っているから、そろそろ結婚の話も視野に入れているのではないかと思っていた。それが今回私の病気の1件と重なり、このまま結婚の話を進めるか迷っていたようだ。


「……結婚の話、進めても大丈夫かな?」

「いいに決まってる。私のことでお姉ちゃんの幸せを(のが)してしまったら責任取れないよ」

「葵……。私たち、結婚式も披露宴もするから。それまで、ちゃんと生きてて。お願い」
< 60 / 189 >

この作品をシェア

pagetop