キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
本当は、脱いだって構わない。

だけど、髪の毛がない姿を見らるのは嫌。
「そんなの今さらでしょ」と言われればそれまでだけど。

五十嵐先生に今の姿を見られるのは、なんとなく嫌なの。


「まぁいいよ。それで? 保留にしてたことの返事、今日してくれるんだろ?」

「……はい」


そう言った彼は、母が持ってきた紅茶を一口喉へと送った。
ドキドキで次の言葉が出てこない私のことを急かすわけでもなく、ただ静かに私が話し始めるのを待ってくれている。

でも、それは私の気持ちをもう理解しているかのような余裕にも見えた。


ーー言わなきゃ。
今の私の気持ち、これからのこと。

ちゃんと考えて、両親にも話した。

私の命が続いていく限り……


「私、五十嵐先生と一緒に病気を乗り越えたい……です」


長い長い沈黙の後、ドキドキしながら伝えた私の気持ち。

ちゃんと、彼に伝わった?


「葵。俺がちゃんとサポートするよ。〝ドクター〟としでじゃなく〝1人の男〟として」

「……はい。よろしくお願いします」


恥ずかしくて俯いたままの私を、ぎゅっと抱きしめてくれた五十嵐先生。

その瞬間、頭のてっぺんからつま先までに、なにかあたたかいものが流れていくような感覚を覚えた。
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