キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
……嬉しい。
想いが、ちゃんと通じた。
1ヶ月程前、告げられた病気は私の人生を一遍させた。
辛い治療、失った髪の毛。
なにもかも初めてで、どうしようもない憤りを感じたこともあった。
でも、彼が……五十嵐先生がいてくれるなら、もう大丈夫。
絶対、乗り越えられる。
「なんか、緊張した」
「え? 五十嵐先生がですか?」
「うん。振られたらどうしようかと思ってた」
ニット帽の上から、私の頭を優しく撫でながらそう言った彼。
これは絶対嘘だ。全然、そんな風には見えないんだもの。
さっきも、余裕の表情を見せていたしね。
「葵。キス……したらダメか?」
「えぇっ!?」
「いや、だから……嫌なら別にいいけど」
チラっと彼の顔を見てみると、少しだけ赤く染まった頬。
なんだか、ずるいなぁ。
普段、仏頂面して病院の廊下を歩いているクセに。
そんな表情で「キスしていいか」なんて聞かれたら、断れないじゃない。
「……大丈夫、です」
そう言った私の頬に、五十嵐先生の手が触れる。
ゆっくりと彼の顔が近付いて来て、唇に生温かいものが触れた。
そっと触れるだけの、優しいキス。
私……生きたいよ。
彼と一緒に、長生きしたい。
彼に触れて、改めて。そんな思いが、強く沸き上がったーー。
想いが、ちゃんと通じた。
1ヶ月程前、告げられた病気は私の人生を一遍させた。
辛い治療、失った髪の毛。
なにもかも初めてで、どうしようもない憤りを感じたこともあった。
でも、彼が……五十嵐先生がいてくれるなら、もう大丈夫。
絶対、乗り越えられる。
「なんか、緊張した」
「え? 五十嵐先生がですか?」
「うん。振られたらどうしようかと思ってた」
ニット帽の上から、私の頭を優しく撫でながらそう言った彼。
これは絶対嘘だ。全然、そんな風には見えないんだもの。
さっきも、余裕の表情を見せていたしね。
「葵。キス……したらダメか?」
「えぇっ!?」
「いや、だから……嫌なら別にいいけど」
チラっと彼の顔を見てみると、少しだけ赤く染まった頬。
なんだか、ずるいなぁ。
普段、仏頂面して病院の廊下を歩いているクセに。
そんな表情で「キスしていいか」なんて聞かれたら、断れないじゃない。
「……大丈夫、です」
そう言った私の頬に、五十嵐先生の手が触れる。
ゆっくりと彼の顔が近付いて来て、唇に生温かいものが触れた。
そっと触れるだけの、優しいキス。
私……生きたいよ。
彼と一緒に、長生きしたい。
彼に触れて、改めて。そんな思いが、強く沸き上がったーー。