キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
葵の夢と、葵の現実
ジメジメとした空気が漂うこの季節は、昔から嫌い。
今日も窓の外を眺めながら、朝から降り続けている雨を見つめる。
「矢田ちゃん、体調は?」
「大丈夫です。座らせてもらってるので」
「今日はもういいよ。ありがとう」
病気がわかって2ヶ月が経った6月下旬。
体調も落ち着き、食事も少しづつ摂れるようになってきた。
家にジッとしているのも辛く、五十嵐先生の許可を得て、今月から午前中だけ外来で仕事をさせてもらうようになった。
でも、受付にはいられない。
髪もまだ伸びてこなくて、スポーツ刈りのような頭にニット帽を被って診察室の奥でドクターたちの雑務をこなしていた。
森脇さんのお腹は、4月に比べて少し大きくなった。
それでも、私の体調を気遣いながら一緒に働いてくれている。
「おーい矢田。行くぞ」
森脇さんと話していると、外科外来の入り口付近から聞き慣れた声が飛んできた。
この声は、紛れもなく五十嵐先生。
今日はこの後、抗がん剤治療を受ける。
現在は『タキソール』という注射薬を週1回のペースで打っていて、化学療法室まで一緒に行くのだ。
「あら、彼がお呼びよ」
「はい。じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。また明日ね」
今日も窓の外を眺めながら、朝から降り続けている雨を見つめる。
「矢田ちゃん、体調は?」
「大丈夫です。座らせてもらってるので」
「今日はもういいよ。ありがとう」
病気がわかって2ヶ月が経った6月下旬。
体調も落ち着き、食事も少しづつ摂れるようになってきた。
家にジッとしているのも辛く、五十嵐先生の許可を得て、今月から午前中だけ外来で仕事をさせてもらうようになった。
でも、受付にはいられない。
髪もまだ伸びてこなくて、スポーツ刈りのような頭にニット帽を被って診察室の奥でドクターたちの雑務をこなしていた。
森脇さんのお腹は、4月に比べて少し大きくなった。
それでも、私の体調を気遣いながら一緒に働いてくれている。
「おーい矢田。行くぞ」
森脇さんと話していると、外科外来の入り口付近から聞き慣れた声が飛んできた。
この声は、紛れもなく五十嵐先生。
今日はこの後、抗がん剤治療を受ける。
現在は『タキソール』という注射薬を週1回のペースで打っていて、化学療法室まで一緒に行くのだ。
「あら、彼がお呼びよ」
「はい。じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。また明日ね」