キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
手を振りながら見送ってくれる森脇さんにペコリと頭を下げてから、五十嵐先生が待つ入り口へと向かった。
「矢田、体調は?」
「大丈夫です」
「バイタル測ってもらった?」
「はい。血圧108/79、体温36.4℃です」
あらかじめ森脇さんに測ってもらったバイタルを彼に伝えると「よし、大丈夫だ」と言ってから化学療法室へと足を進める。
その横を歩きながら、五十嵐先生の顔をチラリと横目で見てみた。
やっぱり仏頂面。
告白してくれたときの顔とは、まるで別人だ。
彼いわく『変な女が寄り付かないようにするため』とのことだけど。
大丈夫な気がする。
「なんだ?」
「いえ。相変わらず、仏頂面して歩くんですね」
「そうか? 葵といるときは、普通だと思ってるんだが」
そんなことを言いながら、自分の頭を搔いている五十嵐先生。
みんなの前では「矢田」、私と2人のときは「葵」と呼んでくれる彼の切り替えには、毎回驚く。
私はまだ……彼を下の名前で呼べていない。
五十嵐先生みたいに、すぐに切り替えられる自信もない。
それに、やっぱりドキドキしてしまうから。
正式に五十嵐先生の彼女になって1ヶ月と少し。
こうして一緒にいるだけでもドキドキしてしまうのに、下の名前で呼ぶのはまだハードルが高かった。
「矢田、体調は?」
「大丈夫です」
「バイタル測ってもらった?」
「はい。血圧108/79、体温36.4℃です」
あらかじめ森脇さんに測ってもらったバイタルを彼に伝えると「よし、大丈夫だ」と言ってから化学療法室へと足を進める。
その横を歩きながら、五十嵐先生の顔をチラリと横目で見てみた。
やっぱり仏頂面。
告白してくれたときの顔とは、まるで別人だ。
彼いわく『変な女が寄り付かないようにするため』とのことだけど。
大丈夫な気がする。
「なんだ?」
「いえ。相変わらず、仏頂面して歩くんですね」
「そうか? 葵といるときは、普通だと思ってるんだが」
そんなことを言いながら、自分の頭を搔いている五十嵐先生。
みんなの前では「矢田」、私と2人のときは「葵」と呼んでくれる彼の切り替えには、毎回驚く。
私はまだ……彼を下の名前で呼べていない。
五十嵐先生みたいに、すぐに切り替えられる自信もない。
それに、やっぱりドキドキしてしまうから。
正式に五十嵐先生の彼女になって1ヶ月と少し。
こうして一緒にいるだけでもドキドキしてしまうのに、下の名前で呼ぶのはまだハードルが高かった。