キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
「俺は、生半可な気持ちで葵といるわけじゃないぞ。それに、俺は別に〝普通〟に捉われたりしてない」


そう言いながら、五十嵐先生はお味噌汁を啜った。

彼の言葉1つひとつが、心に染みる。
そして、そんな風に思っていてくれたことが、なにより嬉しかった。


「葵、うどん伸びるぞ」

「あぁ……! 食べますっ」


熱々だったうどんも、いつの間にかぬるくなってしまっていて。

せっかく熱々を食べられると思っていたのに、残念……。
でも、完食することができた。

きっと、五十嵐先生と一緒だったからだよね。



「あぁ、お腹いっぱい」

「本当、久しぶりにあんなに食べれました」


食事を終えた帰り道。
五十嵐先生の車の中で、少し膨らんだお腹を擦りながら先ほどの食事の余韻に浸る。

本当、今まで食べたうどんの中で1番美味しかったかも。


「あ、五十嵐先生。お金、少しお返しします」


ふと思い出し、バッグの中から財布を取り出した。

クレジットカードで支払いを済ませてくれたようだったけれど、自分の分は自分で払わないと。
と、思ったのに。

財布を出した右手は、五十嵐先生に阻止されてしまった。


「いらない」

「でも……」

「俺がいいって言ってるんだから、遠慮するな」


ググっと財布をバッグに押し込んだ彼は、ハンドルを握り直す。
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