キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】
私はその女性陣から少し離れた場所で、匠真と一緒に姉たちを待っている。


「葵は前に行かないのか?」

「うーん……行きたいのは行きたいんですけど」


ほかの女性陣の気迫に負けそうなんだよね。

それに、もし押されてニット帽が外れてしまったら嫌だから。


「俺が行こうか?」

「えぇ!? 冗談は止めてください」


慌てて拒否する私のことを「ククッ」と喉を鳴らして笑っている匠真。
どうやら、私の反応をおもしろがっているみたい。

いやいや。冗談とはいえ、そこまでガッツかなくてもいい。

もし匠真がブーケなんて取ったら……あぁ、想像しただけでも怖い。


そんなことを話していると、先ほどの司会者が話始めた。


「では、新郎新婦さまが出て来られます! みな様、お手元のフラワーシャワーでお祝いしましょう」


その声と同時に、新郎新婦がチャペルから出てきた。

姉が手に持っているのは、ブーケトス用のピンクのローズブーケ。


「あれ?」

「どうした?」


……ピンク色のローズブーケ?

私が姉から聞かされていた話と違う。
姉の話では『トス用のブーケは私が好きなオレンジ色のローズブーケにしたの』と聞いていた。

それなのに、ピンク色?

その話の後に、打ち合わせで変更でもしたのだろうか。
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