先輩からの挑戦状〜暗号ヲ解読セヨ!〜
月斗が一年生の時に部長が発表したテーマは、「桜」や「探偵」などわかりやすいものだった。だが、三年生が引退して紫乃が部長になった時、「短編コンテスト」の難易度が一気に上がったため、部員たち全員で戦慄したことを月斗は覚えている。
紫乃は海外に強い憧れを持ち、幼い頃から色んな国を長期休みに入るたびに家族と旅行していたそうだ。そのため、彼女の書く小説は海外を舞台にしたものが多い。
そんな紫乃が「短編コンテスト」で出すテーマは、いつも「国」だった。しかも、アメリカやイギリスなど、誰もが知る国を決して彼女はテーマに選ばなかったのだ。
「はい、今回の短編コンテストは「ハンガリー」にします!その次は「ジンバブエ」で、その次は「ラトビア」。その次は「ブータン」にしようと考えています」
地理や歴史が大嫌いな人にとって、紫乃の「短編コンテスト」はまるで拷問だろう。月斗も言われた国がどこにあるのか、どんな国なのか、全くわからず一から調べる羽目になったのだ。
(まあ、あの「短編コンテスト」のおかげで、地理に詳しくなれたような気がするけど……)
暗号のことを考えなくてはならない、そう月斗もわかっている。だが、紫乃のことを一度考えると、胸の高鳴りのせいで紫乃のことしか考えられない。
こうして、時間が過ぎて行った。
紫乃は海外に強い憧れを持ち、幼い頃から色んな国を長期休みに入るたびに家族と旅行していたそうだ。そのため、彼女の書く小説は海外を舞台にしたものが多い。
そんな紫乃が「短編コンテスト」で出すテーマは、いつも「国」だった。しかも、アメリカやイギリスなど、誰もが知る国を決して彼女はテーマに選ばなかったのだ。
「はい、今回の短編コンテストは「ハンガリー」にします!その次は「ジンバブエ」で、その次は「ラトビア」。その次は「ブータン」にしようと考えています」
地理や歴史が大嫌いな人にとって、紫乃の「短編コンテスト」はまるで拷問だろう。月斗も言われた国がどこにあるのか、どんな国なのか、全くわからず一から調べる羽目になったのだ。
(まあ、あの「短編コンテスト」のおかげで、地理に詳しくなれたような気がするけど……)
暗号のことを考えなくてはならない、そう月斗もわかっている。だが、紫乃のことを一度考えると、胸の高鳴りのせいで紫乃のことしか考えられない。
こうして、時間が過ぎて行った。