先輩からの挑戦状〜暗号ヲ解読セヨ！〜

この作品のあらすじは、日本でトップクラスの財力を持った財閥のご令嬢である麗奈が、父の会社の取引先の一つである赤井社長の別荘に招待され、幼なじみの透と遊びに行くところから始まる。

赤井社長は海外旅行が好きで、各部屋に海外で買った家具や土産物が置かれ、赤井社長の部屋の壁には、国旗をモチーフにしたバッジがズラリと並んでいた。だが、そのバッジの並び方はアルファベット順やあいうえお順ではなく、バッジの数も一列目と二列目で違ったり、一列目で使われているバッジが二列目にもあったりと、麗奈も透も何の意味があってこの並びなのか気になっていた。

そんな中、別荘で次々と殺人事件が起こっていく。だが、探偵に解けない謎はない。麗奈は事件現場にあった少しの痕跡から犯人の使ったトリックなどを見抜き、犯人に近付いていく。

その様子を読みながら、月斗はわくわくしながらページをめくっていく。だが、事件の犯人を麗奈が告げた瞬間に、月斗は目を見開いた。

『赤井社長の壁にかけられたこのバッジ、どうしてこの並びなのかずっと不思議でした。でも、赤井社長が手の中に握っていたバッジを見て気付いたんです。……この並びは、社長の身近にいる人物の名前だということに。ほら、ここを見てください』

麗奈が指差した先にあるのは、フランスとカナダ、そしてセーシェルとマレーシアとイギリスのバッジである。これらの国の最初の文字を取ると、「ふかせまい」と人の名前が現れる。赤井社長は、国名・もしくはその国の首都の最初の文字を取ると、身近にいる人物の名前になるよう遊び心でこの並びにしたようだ。

『社長が握っていたバッジは二つ。ポルトガルとデンマークです。ポルトガルの首都はリスボン、デンマークの首都はコペンハーゲンです。首都の最初の文字を取るとあなたの名前になりますよ、莉子さん」