愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
的確に心中を読まれて、ぎくりと硬直する。

同時に、優多さんが北斗さんを気にしていたと思い出した。

「で、でも、私、北斗さんとはそういうふうにはならないから安心して!」

「安心って、なにを?」

「優多さん、消防士の彼氏が欲しいって言ってたじゃない?」

「や、やあねえ、例え話よ。北斗さんのことを言ってるわけじゃないのよ?」

彼女がちょっぴり裏返った声で弁解する。じゃあ誰のことを言っていたのだろう、なんだか怪しい。

「私はいいのよ! それより真誉よ、こじれすぎて前にもうしろにも行けなくなっちゃってない?」

鋭く指摘され、私はううっと目を逸らす。優多さんは神妙な顔をして腕を組んだ。

「まあでも、北斗さんが真誉に手を出しにくいのはわかるわ。真誉のお兄ちゃんから『妹を頼む』って言われてるんでしょ?」

納得したように頷く彼女を、私は首を傾げて見つめる。

「簡単に手を出したりできないわよ。ましてや、幼い頃からよく知ってる間柄なのに、突然オオカミに変身なんて普通の神経じゃ無理。一緒に暮らしてた善意の四年間を否定するようなものだもの」

「そう……だよね」

自分の気持ちにばかり必死になって、北斗さんの立場をちゃんと考えていなかった。

私をそういう目で見るのは、私や兄への裏切りのように感じていても不思議じゃない。

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