愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
***
熱い。喉がひりつく。息が苦しい。
このまま倉庫内にいたら命はない、そう直感した私は、思い切ってドアの外に出て非常階段を上り始めた。
煙に巻かれながらも、這い上がるように階段を上る。
四階以上の建物内部へ繋がるドアはすべて鍵がかかっていた。内側からしか開かない仕組みになっているのだろう。
今日はジムも定休日だから、ほかに避難している人間もいない。
私はひとり追い詰められるように最上階の六階へ上がっていった。
屋上への出入口も、鍵のかかった格子扉で塞がれていて入れない。煙の少ない端に身を寄せて、助けを待つことにする。
格子扉を蹴り飛ばし、ガシャンガシャンと音を立てて救助を呼ぶ。
しかし、煙を吸い込んだせいか、次第に頭がぼんやりとしてきて、やがて足を動かすこともできなくなった。
気を失って、どれくらい経ったのだろう。
「――誉……! 真誉!」
愛しい人の声が聞こえて、私を抱き支える腕の感触にぼんやりと意識を取り戻す。
薄っすらと目を開けると、煤けた空気の中、オレンジ色の防火服が見えた。
顔を覆う面体の中によく知る鋭い目。今まで見てきた中で一番頼もしく、気高く、猛々しい眼差し。
……北斗さん……。
恐怖が吹き飛び、未来に光が差す。彼が助けに来てくれたのだ。
熱い。喉がひりつく。息が苦しい。
このまま倉庫内にいたら命はない、そう直感した私は、思い切ってドアの外に出て非常階段を上り始めた。
煙に巻かれながらも、這い上がるように階段を上る。
四階以上の建物内部へ繋がるドアはすべて鍵がかかっていた。内側からしか開かない仕組みになっているのだろう。
今日はジムも定休日だから、ほかに避難している人間もいない。
私はひとり追い詰められるように最上階の六階へ上がっていった。
屋上への出入口も、鍵のかかった格子扉で塞がれていて入れない。煙の少ない端に身を寄せて、助けを待つことにする。
格子扉を蹴り飛ばし、ガシャンガシャンと音を立てて救助を呼ぶ。
しかし、煙を吸い込んだせいか、次第に頭がぼんやりとしてきて、やがて足を動かすこともできなくなった。
気を失って、どれくらい経ったのだろう。
「――誉……! 真誉!」
愛しい人の声が聞こえて、私を抱き支える腕の感触にぼんやりと意識を取り戻す。
薄っすらと目を開けると、煤けた空気の中、オレンジ色の防火服が見えた。
顔を覆う面体の中によく知る鋭い目。今まで見てきた中で一番頼もしく、気高く、猛々しい眼差し。
……北斗さん……。
恐怖が吹き飛び、未来に光が差す。彼が助けに来てくれたのだ。