愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
左の肩には『特別救助隊』の証であるセントバーナード犬のワッペンがついている。
兄は消防官の中でもとくに難関と言われる選抜試験を突破し、過酷な研修を経て特別救助隊――レスキュー隊に配属されたのだ。
この写真は配属初日に広報誌で使うために撮られたものだそうだ。兄が亡くなったときに、署の方がご厚意でくれた。
無邪気に、だがどこか誇らしげな笑顔でこちらを見つめている。
消防官の憧れ、エリートと呼ばれるレスキュー隊になれてさぞ嬉しかったのだろう。
だがそれから一年後。私が二十歳、兄が二十六歳のとき帰らぬ人となった。救助中の事故だった。
兄は要救助者を命がけで守り、亡くなったそうだ。心優しく勇気のある消防官の鑑だったと、兄の所属する隊の隊長が言っていた。
「人の命を救う、立派な職業よね。お兄ちゃんも、北斗さんも」
北斗さんも兄と同じくレスキュー隊員を目指す道を進んだ。
消防士として経験を積んだあと、兄と同じ時期に選抜試験に合格し、別の署のレスキュー隊に配属された。
順調にキャリアを積み上げ、今年から消防司令補――隊を率いる立場に就いている。
兄は消防官の中でもとくに難関と言われる選抜試験を突破し、過酷な研修を経て特別救助隊――レスキュー隊に配属されたのだ。
この写真は配属初日に広報誌で使うために撮られたものだそうだ。兄が亡くなったときに、署の方がご厚意でくれた。
無邪気に、だがどこか誇らしげな笑顔でこちらを見つめている。
消防官の憧れ、エリートと呼ばれるレスキュー隊になれてさぞ嬉しかったのだろう。
だがそれから一年後。私が二十歳、兄が二十六歳のとき帰らぬ人となった。救助中の事故だった。
兄は要救助者を命がけで守り、亡くなったそうだ。心優しく勇気のある消防官の鑑だったと、兄の所属する隊の隊長が言っていた。
「人の命を救う、立派な職業よね。お兄ちゃんも、北斗さんも」
北斗さんも兄と同じくレスキュー隊員を目指す道を進んだ。
消防士として経験を積んだあと、兄と同じ時期に選抜試験に合格し、別の署のレスキュー隊に配属された。
順調にキャリアを積み上げ、今年から消防司令補――隊を率いる立場に就いている。