愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
ありがとう、大好き。そう言いたいけれど、声がうまく出ない。
唇だけ動かすと、彼は頷き「もう大丈夫だ」と私を抱き上げてくれた。
逞しい腕に抱かれ、一階へと運び出される。
ストレッチャーに乗せられ救急車に向かうと、女性の大きな泣き声が聞こえてきた。
「真誉……! よかった、真誉ぉ!」
……優多さん……。
彼女の泣き顔を見て気がつく。
北斗さんはこれまで、たくさんの人を救助してきたけれど、救われていたのは救助を待つ当事者だけではない。
彼らの帰りを待つ、家族や恋人、友人、同僚。多くの人の心を救ってきたのだ。
なんて誇らしい仕事なのだろう。
ようやく、彼が消防官という職業に価値を見出したわけを知れた気がした。
目が覚めると、病院のベッドに寝かされていた。窓の外は暗く、カーテンが閉められている。
視線を巡らせると、窓辺の折りたたみチェアにオレンジ色の救助服を纏った彼が座っていた。
「気がついたか?」
「北斗さん……」
火災の記憶が鮮明によみがえる。死を直感して恐怖したことも、彼に助けられ嬉しかったことも。
唇だけ動かすと、彼は頷き「もう大丈夫だ」と私を抱き上げてくれた。
逞しい腕に抱かれ、一階へと運び出される。
ストレッチャーに乗せられ救急車に向かうと、女性の大きな泣き声が聞こえてきた。
「真誉……! よかった、真誉ぉ!」
……優多さん……。
彼女の泣き顔を見て気がつく。
北斗さんはこれまで、たくさんの人を救助してきたけれど、救われていたのは救助を待つ当事者だけではない。
彼らの帰りを待つ、家族や恋人、友人、同僚。多くの人の心を救ってきたのだ。
なんて誇らしい仕事なのだろう。
ようやく、彼が消防官という職業に価値を見出したわけを知れた気がした。
目が覚めると、病院のベッドに寝かされていた。窓の外は暗く、カーテンが閉められている。
視線を巡らせると、窓辺の折りたたみチェアにオレンジ色の救助服を纏った彼が座っていた。
「気がついたか?」
「北斗さん……」
火災の記憶が鮮明によみがえる。死を直感して恐怖したことも、彼に助けられ嬉しかったことも。