愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
じんわりと目頭が熱くなる。彼がこの過酷な仕事を選んでいなければ、私の命は今日で終わっていたかもしれない。

「私もひとつ、わかったことがあるんだ」

彼に向かって手を伸ばす。

「レスキュー隊として活躍する北斗さんが誇らしい。これまでたくさんの人を救って、たくさんの人を笑顔にしてきたんだって、ようやくわかった気がする」

彼がこちらに来て私の手を両手で包み込んでくれる。きゅっと力を込めると、答えるように深く握り返してくれた。

「私も北斗さんと一緒に闘いたい。たくさんの人を幸せにしたい。私にできるのは料理くらいしかないけれど、私なりに北斗さんを支えられたらって思ってる」

「真誉……」。

「もう泣きながら帰りを待ったりしない。北斗さんが帰ってくるのを信じてる」

北斗さんが私の手を強く握り込む。頬がわずかに紅潮していて、喜びをかみしめてくれているのだと伝わってきた。

「……ありがとう、真誉」

どこか泣きそうな彼の声。私は「それからね」と言い募る。

「やっぱり北斗さんが好き。大好き。世界で一番愛してる」

言ってしまえば心がすっと楽になった。

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