愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「誇らしいです。兄が奥様を救い、そのおかげでかわいい赤ちゃんが生まれた」
兄は自分の行いに、後悔などしていないだろう。
天国で彼女の無事を、新たな命の誕生を、祝福してくれているはずだから。
「きっと兄も、喜んでいると思います」
夫婦は顔を見合わせる。ぐすりと涙ぐむ妻の背中に手を添えて、男性は静かに切り出した。
「実は勝手ながら、この子に恩人の名前をつけさせてもらったんです。『遊真』と」
思いもよらない報告に、私は大きく目を見開く。この愛らしい子が『遊真くん』……?
「遊真も名前を受け継いでもらって喜んでいるでしょう」
北斗さんの言葉に私も大きく頷く。
きっと兄は天国から誇らしげにこちらを見ているに違いない。もしかしたら照れているかも。
「乙花さんのおかげで授かった命です。大切に育てます」
夫婦は私たち、そして兄の墓に深々と一礼し、立ち去っていった。
ぼんやりと立ち尽くす私に、北斗さんは「真誉? 大丈夫か」と覗き込んでくる。
「はい」
背中を押すように風が吹く。
兄は自分の行いに、後悔などしていないだろう。
天国で彼女の無事を、新たな命の誕生を、祝福してくれているはずだから。
「きっと兄も、喜んでいると思います」
夫婦は顔を見合わせる。ぐすりと涙ぐむ妻の背中に手を添えて、男性は静かに切り出した。
「実は勝手ながら、この子に恩人の名前をつけさせてもらったんです。『遊真』と」
思いもよらない報告に、私は大きく目を見開く。この愛らしい子が『遊真くん』……?
「遊真も名前を受け継いでもらって喜んでいるでしょう」
北斗さんの言葉に私も大きく頷く。
きっと兄は天国から誇らしげにこちらを見ているに違いない。もしかしたら照れているかも。
「乙花さんのおかげで授かった命です。大切に育てます」
夫婦は私たち、そして兄の墓に深々と一礼し、立ち去っていった。
ぼんやりと立ち尽くす私に、北斗さんは「真誉? 大丈夫か」と覗き込んでくる。
「はい」
背中を押すように風が吹く。