愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
男は夜、オオカミになると優多さんが言っていたけれど、今の彼の目には確かに肉食獣めいたギラつきがある。

「了解」

短く呟くと立ち上がり、私の膝を持ち上げ抱きかかえた。

「え!? お、下ろしてっ」

「ダメだ。二言は許さない。寝室まで強制連行」

悪魔のように囁いて、二階にある自身の寝室に連れていく。

ベッドの上に私を横たえると、照明をわずかに灯し薄暗くして、ドアを閉めた。

「ここまで耐えた俺を褒めてほしいくらいだ」

そう言って、タガが外れたかのように私の上に影を落とす。

私まで感極まってしまい「北斗さん……」とか細い悲鳴を漏らす。

吐息が混ざり、今までにない響きが生まれる。

「そんな声、初めて聞いたな」

彼は嬉しそうに囁いて、私の寝間着に手を伸ばした。ボタンを下側からぷつぷつと外していく。

「あの、あんまりよく見ないでね?」

最初は薄暗くてあまり見えなかったけれど、目が慣れてきたのか、今では彼の輪郭がくっきりと見える。

つまり、彼からも私がよく見えているということで――。

「よく見せてほしいから、あえてこの明るさなんだが? それに職業上、夜目が利くんだ」

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