愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「も、もう! 変なこと言わないでよ」

「ごめんごめん。優多が本当はかわいいのは、内緒だったね」

姉さん女房ではあるけれど、根の真っ直ぐな五十嵐さんが優多さんを包み込む瞬間がある。

そういうところが『普通の男じゃ満足できない』という優多さんを射止めた理由なのかも。

「で、では。あらためまして、乾杯!」

優多さんの音頭に合わせて四つのグラスがリンと音を立てる。

北斗さんはビーツジュースを口に運び「おいしい」とひと言。

ビーツの他にもブドウやスパイスなどを加え、クラフトワイン風な味わいに仕立ててある。気に入ってもらえてよかった。

そしてテーブルにはリニューアルしたカフェの常設料理が並んでいる。

「料理の種類が増えたな」

「メニューも客席も従業員数もぐっと増やしたの。かなり頑張ったのよ?」

私の説明に優多さんが鼻高々に乗っかる。

「以前の店で、ナチュラルカフェの需要はよくわかったからね。オーガニックのこだわり食材や、若い子が食いつくような映え系メニューを増やして、ガッツリ稼いでやろうと思って」

優多さんはメニューを広げて北斗さんに「ほら!」と掲げる。

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