愛しのプラトニック・オレンジ～エリート消防官の彼と溺甘同居中～

家から徒歩二十分の、駅から少し離れた商業地区。雑居ビルの三階に私の働くカフェがある。

ナチュラルカフェ『グリーン＊Glee』。健康で美しい体作りをモットーに、栄養や美容に着目したメニューを提供している。

お値段はちょっぴりお高め。でも、筋トレ後に最適な高たんぱくメニューや、美容やダイエット中にいいビタミンたっぷりローカロリーメニューは好評だ。

同ビルの四階から六階には北斗さんも通うスポーツジムが入っていて、ジム帰りに寄ってくれるお客様もいる。

内装はウッド調のシンプルモダン。心と体のくつろぎをテーマに、私とオーナーで考えたこだわりの空間だ。

「お疲れ様ー」

今日は上階のジムのお休みに合わせて定休日。なので、お客様は誰もいない。

ガラスドアを開けて店に足を踏み入れると、中央にある四人掛けの木製テーブルで、優多さんがノートパソコンの画面とにらめっこしていた。

横には帳簿と電卓。経理業務をしていたのだろう。

「お疲れ、真誉ー」

パソコン作業用の黒縁眼鏡を外し、優多さんが顔を上げる。