愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
桜庭(さくらば)優多、二十八歳。

大学の経営学部を卒業してから栄養専門学校に入学したので、私より四つ年上。

栄養学だけじゃなく経営にも詳しい頼れるお姉さんだ。

黒い艶やかな髪をポニーテールにして、夏らしいボタニカル柄のトップスとホワイトのワイドパンツを穿いている。

美人でスタイルもよく知的。サバサバしていてなんでもはっきり口にする性格は、私とは正反対かもしれない。

「先月も売上は上々よ。素材にこだわりが強い分、大儲けとはいかないけど、経営を続けるには充分な稼ぎが上げられてる」

優多さんは椅子を引いて悠然と脚を組み、ニッと誇らしげな笑みを浮かべる。

「よかった。開店したばかりの頃は苦労したけど、無事軌道に乗れたみたいだね」

「当初はクオリティを落として値段を下げるかって案も出てたわね。そうしなくてよかったわ。今この店を支えてくれているのは、クオリティに満足してくれた根強いリピーターだもの」

内容も見栄えもこだわったおかげで、SNSでの宣伝効果もばっちりだ。

遠方から来てくれるお客様もいるし、隣町から通ってくれるリピーターさんもいる。

「新作も頑張らないとね。お客様が期待してくれてるし」

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