愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
カフェのオープン前はよく我が家で打ち合わせをしていたから、優多さんは北斗さんと面識がある。

彼を見るたびに「今日も男前ね」と目の保養にしていた。

がっしりとした男らしい体格が好みにドンピシャなのだそう。

けれど私に気を遣ってか、北斗さん相手にぐいぐいモーションをかけることはしなかった。

優多さんいわく『一時的な恋より、永遠に続く友情が大事』だそう。私を選んでくれたのだとしたらちょっと嬉しい。

でも、彼とはそういう関係じゃないから気にしなくていいって言ってるのに。

「そりゃあ北斗さんは素敵だけど、家族だから。私を妹みたいに思ってくれてるのよ?」

一緒に暮らそうと提案してきたのは北斗さんの方だ。

兄が亡くなった当時、私は二十歳の大学生。

伯母は学生の間だけでも我が家に身を寄せないかと聞いてくれたけれど、伯母一家とそこまで親しくもなかったから、世話になるのははばかられ断った。

よく知らない家族の中に入っていくのも不安だったのだ。

学生とはいえもう二十歳、ひとりで生きられない歳じゃない。ちょっぴり心細かったけれど、ひとりで暮らす選択をした。

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