愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
そんなとき北斗さんは『俺と一緒に暮らそう』と言ってくれたのだ。

兄から『俺になにかあったら妹を頼む』と任されていたのだそう。

北斗さんは兄の親友で、私も幼い頃からずっとお世話になっていたから、同居に抵抗はなかった。むしろ心強い。

それから四年、もう二十四歳だ。そろそろ自立を考えなくては。

「まだ社会人になったばかりだから一緒に暮らしているけど、生活が安定したら別々に暮らすようになると思う」

そう思うとちょっぴり寂しいけれど、彼だっていつまでも私の面倒を見ているわけにはいかないだろう。

「本当にそれでいいの?」

優多さんが腑に落ちない顔で言う。

「もちろん。それに――」

私は北斗さんとの恋愛を考えられない一番の理由を説明する。

「もしも北斗さんとお付き合いすることになったら、私はきっとレスキュー隊をやめてほしいって言っちゃうから」

怪我をするかもしれない、命を失うかもしれない――だって、兄がそうだったから。

愛する人がそんな危険な職業に就いていたら、私はつらくて耐えられそうにない。

「そういえば前に言ってたっけ。北斗さんがなかなか家に帰ってこないと、不安になるって」
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