愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
第二章 この恋は心を引き裂く


九月一日。今日から秋メニュー第一弾が始まる。

秋とはいえ、気温は三十度を超えている。さっぱりしたメニューにして正解だった。

平日の昼。キッチンとホールをアルバイト社員が一名ずつ担当し、私はフレキシブルに動いてふたりのサポートに回る。

優多さんは基本的に事務作業だが、忙しい時間帯はキッチンを手伝ってくれるから心強い。

「お待たせしました。秋のワークアウト・ケアプレートです」

ワークアウトとはフィジカルトレーニングのこと。

運動後、体をメンテナンスするのに効果的な栄養素をたっぷり詰め込んだワンプレートメニューだ。

メインは彩り豊かな緑黄色野菜や旬のきのこをたっぷり使用し、たんぱく質が豊富なさんまとカッテージチーズを和えた。

ソースはすっきりした黒酢にほんのりガーリックをアクセントに加えている。

付け合わせには、サーモンとアボガドをごろごろ加えたロミロミサーモン風サラダ。

ビタミンやミネラルが含まれている玄米ご飯をプレートの端にちょこんと載せた。

注文してくれたのは三十歳前後の男性。ジム帰りによく寄ってくれる常連さんだ。

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