愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
うしろから歩み出ると「はじめまして」と元気よく笑った。

「今年、レスキュー隊に配属されました、五十嵐亮一(いがらしりょういち)と申します」

両足をビシッと揃えて今にも敬礼しそうな五十嵐さんを見て、思わず北斗さんが「ここでかしこまらなくていいよ」と苦笑する。

「初めまして、乙花真誉と申します」

私も丁寧に頭を下げた。

五十嵐さんは北斗さんより少しだけ背が低いけれど、筋肉は見るからにモリモリといった印象。

北斗さんが俗に言う細マッチョだとしたら、彼は本格派マッチョだ。

「隊長には大変お世話になっております」

「こちらこそ! 北斗さんがお世話になっております」

北斗さんって隊長って呼ばれているんだ……!

ふたりの間に流れる堅苦しい空気を察したのか、北斗さんが私たちの肩を叩いた。

「挨拶はそれくらいにしておこう。五十嵐も腹が減っているんだろう?」

私は慌てて「お席にご案内しますね」と奥のボックス席にお連れする。

ふたりの注文分は私が調理させてもらった。

優多さんが気を利かせて「一緒に休憩取っちゃったら?」と言ってくれたので、私も席にご一緒させてもらって賄いランチを食べる。

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