愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
バスタオル一枚の私を前にしてもなんの動揺もしない冷静な彼は、同居人の吉柳北斗さん。私より六つ年上の三十歳だ。
鍛え上げられた体は、今のようなアクロバティックな動きをしたってへっちゃららしい。
身長は一八五センチと大きめ。捲り上げられた袖から覗くシャープでがっしりとした前腕筋が頼もしい。
「あ、あのね! これには訳があって――」
「ああ……まあ、下着を持っていき忘れた、とかだろ?」
まさにそれ、と私はこくこく頷く。
「真誉は家族みたいなものだし、タオル一枚で歩いていようがなにを思うわけでもないんだが……」
と彼は前置きし、少々呆れた顔で頬をかく。
「そんなに恥ずかしそうにするくらいなら、風呂に入る前に着ていたシャツだけでも羽織って出てきたらどうだ?」
鋭い指摘に愕然として立ち尽くす。
脱いだ服をそのまま着てくればよかったんだ……そんな単純なことにも気づかないくらい動転していた。
訂正する。私、乙花真誉は、慎重ではあるがときにとんでもなくそそっかしい。
鍛え上げられた体は、今のようなアクロバティックな動きをしたってへっちゃららしい。
身長は一八五センチと大きめ。捲り上げられた袖から覗くシャープでがっしりとした前腕筋が頼もしい。
「あ、あのね! これには訳があって――」
「ああ……まあ、下着を持っていき忘れた、とかだろ?」
まさにそれ、と私はこくこく頷く。
「真誉は家族みたいなものだし、タオル一枚で歩いていようがなにを思うわけでもないんだが……」
と彼は前置きし、少々呆れた顔で頬をかく。
「そんなに恥ずかしそうにするくらいなら、風呂に入る前に着ていたシャツだけでも羽織って出てきたらどうだ?」
鋭い指摘に愕然として立ち尽くす。
脱いだ服をそのまま着てくればよかったんだ……そんな単純なことにも気づかないくらい動転していた。
訂正する。私、乙花真誉は、慎重ではあるがときにとんでもなくそそっかしい。