愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
彼は「風邪引かないようにな」とだけ優しく言い置いて、階段を下りていった。

私はたまらず両手で顔を覆い、しゃがみ込む。

「ああぁー……」

恥ずかしいが振り切って泣きそうだ。

裸、見られたかな? 大事な部分は見られてないよね? そう願うしかない。

しかも、私はこんなに恥ずかしいのに、彼はなんにも感じていないのが、なおのこと切ない。

『真誉は家族みたいなものだし――』

彼の言葉が頭の中で繰り返される。

『なにを思うわけでもないんだが――』

「なにかちょっとくらい思ってよー……」

私たちは他人同士で、血が繋がっているわけでもないのに。

欠片もドキドキしないってことは、女性としての魅力がゼロと言われているようなものだ。

そりゃあ一緒に暮らし始めて、四年も経つんだもの。妹のように面倒を見てきた私に、今さらドキドキもないのだろうけれど。

「一応、腕の中に裸の女がいたんですけどー……」

一緒に暮らし始めた二十歳の頃と比べて、二十四歳になった私はそこそこ大人の女性に成長したつもりでいた。

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