愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
ノーネクタイでシャツとジャケットをラフに着こなしている。

髪色もパーマがかった茶色。黒髪の十倉さんとは真逆の印象を受ける。いかにもモテ男といったイメージ。

ふたりは優多さんの経営学部時代の友人だそう。

「昔っから真面目で清楚っぽい女の子が好きだよねー、十倉は」

いたずらっぽく笑う三津屋さんを、十倉さんはたしなめる――かと思いきや。

「うん。好きだよ」

どストレートな返答に他のメンバーは面食らう。

「女性のオシャレとか、あまり興味がないかな。逆にシンプルな方が、地に足がついていて信頼できるというか。長く付き合えそうな気がする」

なんて正直者……というか、合理主義なのかな?

でも、かわいく着飾ってこの場に臨んだ美波は、ちょっぴり複雑そうな顔をしている。

すかさず三津屋さんが口を開いた。

「でも、見た目と信頼は別問題じゃない? オシャレしてる子を見ると、俺は健気でかわいいな~って嬉しくなるけどね」

美波がホッとした顔をする。

出だしのやり取りでなんとなくペアが出来上がってしまい、十倉さんはよく私に話題を振ってくれるようになった。

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