愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「北斗さん以外の男性に、魅力なんて感じないの」

彼への想いをはっきりと自覚してしまった。

できることならずっと見ない振りをしていたかったのに。

気づいてしまったからには隠しておけない。

気が昂って、秘めた想いが口をついて出てしまう。

「ほかに素敵な人を見つけようとしても、ダメだったの。私、北斗さんが――」

「真誉」

冷静な声に言葉を遮られる。

見れば、彼は困ったような微笑みを浮かべてこちらを見つめていた。

「真誉が男に手を引かれて、飲み屋街を歩いていったとき。うしろ姿を追いかけながら――少し、迷っていた。このまま行かせてやった方がいいのかなって。手を繋いでほしいと、真誉が望んだんじゃないかって」

「望んでない! 私、北斗さん以外、誰にも触れられたくなんか――」

首を大きく横に振ると、そんな私を落ち着かせるかのように、彼の手がゆっくりと私の頬をすくい上げた。

「俺も。真誉以上に大事な女の子なんていない」

甘く切ない眼差し。引き結ばれた形のいい唇がゆっくりと近づいてくる。

触れる――そう思った瞬間、唇はするりと私の鼻先をすり抜けて、額に触れた。

ちゅっと甘い水音が、おでこで鳴る。

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