愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「俺にとって、真誉は特別だ。かわいくて、大切で、守ってやりたい」

春の日差しのように温かく柔らかい眼差しで私を見つめる。

期待しそうになるけれど、これは私が求めているものとは違う。私が彼に抱く感情とは別物だ。恋、じゃない。

大切な家族へ――親友の妹へ送る無償の愛だ。

すると、彼の手が背中に回ってきて、大きな腕にきゅっと包まれた。

「だからこそ、俺のそばにいちゃいけない」

私を強くかき抱いて、胸もとに押し込める。

こんなに情熱的に抱きしめてくれるのに、これが愛じゃないなんて。

「私じゃ、ダメ……?」

彼への愛しさと、一方通行にしかならない苦しみが押し寄せてくる。

「そうじゃないんだ」

彼は腕に力を込め、悲痛な声で囁く。なぜそんなに苦しそうな顔をするのだろう。

「大事だからこそ、俺じゃダメなんだ」

「……? 意味がよくわからないよ」

彼は瞼を落とし、苦しげに眉をひそめた。おでことおでこがコツンとあたる。

「俺じゃ、真誉を幸せにしてあげられない」

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