愛しのプラトニック・オレンジ~エリート消防官の彼と溺甘同居中~
「いい子なのは同意するが。本人の了承もなく貰い手を探そうとするなよ」

「変な男に騙されるよかマシだろ? アイツ、すぐ人を信じるから、誰かがそばにいて見張ってやんないとダメなんだよ」

切羽詰まった顔で力説する。イエスと言ってもらえなければ死んでも死に切れないというような剣幕だ。

「頼むよ、約束してくれよ」

「あーわかったよ、万一お前になにかあったら、俺が真誉ちゃんの面倒を見る。嫁に行くまできちんと見守ってやる。変な男に騙されそうになったら、お前の代わりにそいつを殴ってやる。それでいいな?」

ようやく満足したようで、遊真はニカッと笑った。

「それ以前に、さっさと死のうとするな。真誉ちゃんを見守るのはお前の役目だろ」

「当然だ。百歳まで生きて真誉を看取ってやる」

「その意気だ」

俺たちは彼女が作ってくれたハンバーグを綺麗に完食した。

しばらくすると彼女は大学から帰ってきて、結局夕飯までご馳走になってしまった。

和やかに過ぎる三人の時間。

けれど、それから一年後、遊真は帰らぬ人となってしまった。



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