敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「それに、あの交流会でのプレゼン資料も、恵が担当になっていた営業用の資料もほとんど未希が作っていたんだって? あれ、先方にいつもめちゃくちゃ評判がいんだよ」
「知りませんよ。散々、人のこと仕事ができないって見下してきたじゃないですか」
思えば付き合っているときもそうだった。『契約社員の未希に俺の仕事の大変さはわからない』といつも言っていた。ずっと彼は私を下に見ていたんだ。
私の冷たい声とは反対に木下さんは必死に訴えかけてくる。
「やっぱり未希がいいんだ。また未希の手料理が食べたい。未希が家事をしてくれたから仕事にも打ち込めていた」
「馬鹿にしないでください! 私はあなたの母親でも家政婦でもありません」
もしも、そんなふうに声をかけてくれたのが付き合っているときだったら。橋本さんの件がなかったら……。どっちみち一緒だ。木下さんすべては自分にとって都合がいいかどうかだけなんだ。
今だって、彼にとってメリットがあるから私に声をかけてきている。そこに愛情なんてない。おそらく隼人さんと結婚した事実も絡んでいるのだろう。誰かのものになって惜しく感じるなんてまるで子どもだ。
「もう仕事以外で私に関わらないでください。木下さんと私はなんの関係もありませんから」
二度と関わりたくない。別れたときとはまた違う意味で心底思う。すると木下さんは不快そうに眉をつり上げた。
「なんだよ。だったら社長は違うのか? お前のこと愛しているのかよ?」
私はなにも答えず、彼の手を振り払って会社の方へ駆け出す。
頭がズキズキと痛みだし、顔をしかめた。違う!と反論できたらどんなにいいだろうか。けれどそれができないのが、私と隼人さんの現状を突きつけていた。
「知りませんよ。散々、人のこと仕事ができないって見下してきたじゃないですか」
思えば付き合っているときもそうだった。『契約社員の未希に俺の仕事の大変さはわからない』といつも言っていた。ずっと彼は私を下に見ていたんだ。
私の冷たい声とは反対に木下さんは必死に訴えかけてくる。
「やっぱり未希がいいんだ。また未希の手料理が食べたい。未希が家事をしてくれたから仕事にも打ち込めていた」
「馬鹿にしないでください! 私はあなたの母親でも家政婦でもありません」
もしも、そんなふうに声をかけてくれたのが付き合っているときだったら。橋本さんの件がなかったら……。どっちみち一緒だ。木下さんすべては自分にとって都合がいいかどうかだけなんだ。
今だって、彼にとってメリットがあるから私に声をかけてきている。そこに愛情なんてない。おそらく隼人さんと結婚した事実も絡んでいるのだろう。誰かのものになって惜しく感じるなんてまるで子どもだ。
「もう仕事以外で私に関わらないでください。木下さんと私はなんの関係もありませんから」
二度と関わりたくない。別れたときとはまた違う意味で心底思う。すると木下さんは不快そうに眉をつり上げた。
「なんだよ。だったら社長は違うのか? お前のこと愛しているのかよ?」
私はなにも答えず、彼の手を振り払って会社の方へ駆け出す。
頭がズキズキと痛みだし、顔をしかめた。違う!と反論できたらどんなにいいだろうか。けれどそれができないのが、私と隼人さんの現状を突きつけていた。