敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
『私も忙しいからあまり時間はとらせないわよ。終わる頃に連絡ちょうだい。それじゃ』
そう言って母は一方的に電話を切った。どこまでも自分のペースを崩さない人だ。大きくため息をつきながら、スマホを枕元に放り投げ、天井を仰ぎ見る。
いつもこうやって母に振り回されるのに、どうしても拒絶することができない。
話ってなんだろう。長年の経験からなんとなくいい内容ではない気がする。隼人さんと私の結婚についてかな。結婚式はどうするの、とかそういう話?
まったく見当がつかないが、行かない選択肢はない。長い息を吐いて、思考をシャットダウンするためにも強引に目を閉じた。
「未希」
名前を呼ばれ、ふっと意識が浮上する。
「隼、人さん?」
寝惚け眼に捉えたのはスーツを着てこちらを見下ろしている隼人さんの姿だ。
「起こして悪い。そろそろ会社に行くが、ひとりで大丈夫か?」
そこで私は目を見開き、反射的に上半身を起こした。
「だ、大丈夫です。すみません、私」
完全な不意打ちと寝起きで頭が混乱する。そんな私の頭を隼人さんはそっと撫でた。
「極力早く帰ってくるから、ちゃんと寝ておけよ」
「あ、実は母から連絡があって、私の仕事が終わる頃にうちの会社近くのファミレスに来るらしく、会うことになりまして」
心配してもらって申し訳ないが、これは伝えておかなければ。下手すると隼人さんの方が早く帰って来てしまうかもしれない。
そう言って母は一方的に電話を切った。どこまでも自分のペースを崩さない人だ。大きくため息をつきながら、スマホを枕元に放り投げ、天井を仰ぎ見る。
いつもこうやって母に振り回されるのに、どうしても拒絶することができない。
話ってなんだろう。長年の経験からなんとなくいい内容ではない気がする。隼人さんと私の結婚についてかな。結婚式はどうするの、とかそういう話?
まったく見当がつかないが、行かない選択肢はない。長い息を吐いて、思考をシャットダウンするためにも強引に目を閉じた。
「未希」
名前を呼ばれ、ふっと意識が浮上する。
「隼、人さん?」
寝惚け眼に捉えたのはスーツを着てこちらを見下ろしている隼人さんの姿だ。
「起こして悪い。そろそろ会社に行くが、ひとりで大丈夫か?」
そこで私は目を見開き、反射的に上半身を起こした。
「だ、大丈夫です。すみません、私」
完全な不意打ちと寝起きで頭が混乱する。そんな私の頭を隼人さんはそっと撫でた。
「極力早く帰ってくるから、ちゃんと寝ておけよ」
「あ、実は母から連絡があって、私の仕事が終わる頃にうちの会社近くのファミレスに来るらしく、会うことになりまして」
心配してもらって申し訳ないが、これは伝えておかなければ。下手すると隼人さんの方が早く帰って来てしまうかもしれない。