敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「お母さんと、なにを?」
訝しげな表情で隼人さんは尋ねてきた。彼が母にあまりいい印象を抱いていないのは無理もない。けれど私は無理矢理笑顔をつくる。
「それはわからないのですが……時間も取らせないと言っていたので、すぐ終わると思います」
隼人さんはなにか言いたそうにしながらも、ややあって小さくため息をついた。
「わかった。うちの会社近くなら、終わったら連絡をくれないか? 一緒に帰ろう」
「で、でも」
もしも隼人さんを待たせる事態になったら申し訳ない。けれど隼人さんは譲らなかった。
「いいから。必ず連絡するように」
そう言われると拒否できず、私は素直に頷く。
「はい」
頭を撫でていた彼の手が離れ、隼人さんは改めて私と目を合わせてきた。
「帰ってきたら、未希に大事な話があるんだ」
「大事な話?」
真剣な面持ちの彼に、私は戸惑う。それはいい話なのか、悪い話なのか。
「今じゃだめなんですか?」
言い知れない不安を解消したくなり隼人さんにねだると、彼は困惑気味に笑った。
「できれば未希の調子がいいときにゆっくりと話したいと思っている」
どうやら気軽に離せる内容ではないらしい。ましてや彼は出社前で時間がないのだ。
「わかりました」
自分本位だったと急に恥ずかしくなる。私、なに言っているんだろう。
「玄関までお見送りします」
全部、仕事として彼の意思を尊重しながら受け取らないと。
訝しげな表情で隼人さんは尋ねてきた。彼が母にあまりいい印象を抱いていないのは無理もない。けれど私は無理矢理笑顔をつくる。
「それはわからないのですが……時間も取らせないと言っていたので、すぐ終わると思います」
隼人さんはなにか言いたそうにしながらも、ややあって小さくため息をついた。
「わかった。うちの会社近くなら、終わったら連絡をくれないか? 一緒に帰ろう」
「で、でも」
もしも隼人さんを待たせる事態になったら申し訳ない。けれど隼人さんは譲らなかった。
「いいから。必ず連絡するように」
そう言われると拒否できず、私は素直に頷く。
「はい」
頭を撫でていた彼の手が離れ、隼人さんは改めて私と目を合わせてきた。
「帰ってきたら、未希に大事な話があるんだ」
「大事な話?」
真剣な面持ちの彼に、私は戸惑う。それはいい話なのか、悪い話なのか。
「今じゃだめなんですか?」
言い知れない不安を解消したくなり隼人さんにねだると、彼は困惑気味に笑った。
「できれば未希の調子がいいときにゆっくりと話したいと思っている」
どうやら気軽に離せる内容ではないらしい。ましてや彼は出社前で時間がないのだ。
「わかりました」
自分本位だったと急に恥ずかしくなる。私、なに言っているんだろう。
「玄関までお見送りします」
全部、仕事として彼の意思を尊重しながら受け取らないと。