敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
母親とはいえ家主である社長の許可なく家にあげていいのか一瞬迷ったが、そもそも私は今日、正規の仕事でここにやってきたわけではない。
あくまでも社長の個人的な頼みでここにいるのだから、気を回しすぎるのもよくないだろう。
「いい香り」
リビングに入った途端、鼻を掠めるコーヒーの香りに、美奈子さんがうっとりした声をあげた。
「コーヒー召し上がりますか?」
「お願い」
すかさずキッチンに回り、カップを準備する。そこへ美奈子さんもやってきた。
「お砂糖とミルクはどうなさいます?」
「いらないわ。どうせどちらもここにはないでしょう?」
苦笑する美奈子さんに、念のため伝える。
「ミルクならありますよ」
するとその回答に美奈子さんが目を丸くした。
「あら、本当? どうしたのかしら、珍しい」
「あの、私がコーヒーを飲む際にミルクを入れるとお伝えしたら、息子さんが用意してくださって」
しどろもどろに言い訳する。言ってから、業者なのに仕事場でコーヒーを飲むのかと叱責されるところを想像して後悔する。ところが、美奈子さんは嬉しそうに笑った。
「そうなの? ならミルクをお願い」
「かしこまりました」
彼女のカップを準備し、いつもの場所からミルクを自分の分を含め取り出す。相手は社長のお母さまではあるが、気持ちはすっかり家事代行業者になっていたので変に緊張せずにいられた。
向こうも私の様子をじっと見つめているので、もしかすると業者としての腕を確かめられているのかもしれない。
あくまでも社長の個人的な頼みでここにいるのだから、気を回しすぎるのもよくないだろう。
「いい香り」
リビングに入った途端、鼻を掠めるコーヒーの香りに、美奈子さんがうっとりした声をあげた。
「コーヒー召し上がりますか?」
「お願い」
すかさずキッチンに回り、カップを準備する。そこへ美奈子さんもやってきた。
「お砂糖とミルクはどうなさいます?」
「いらないわ。どうせどちらもここにはないでしょう?」
苦笑する美奈子さんに、念のため伝える。
「ミルクならありますよ」
するとその回答に美奈子さんが目を丸くした。
「あら、本当? どうしたのかしら、珍しい」
「あの、私がコーヒーを飲む際にミルクを入れるとお伝えしたら、息子さんが用意してくださって」
しどろもどろに言い訳する。言ってから、業者なのに仕事場でコーヒーを飲むのかと叱責されるところを想像して後悔する。ところが、美奈子さんは嬉しそうに笑った。
「そうなの? ならミルクをお願い」
「かしこまりました」
彼女のカップを準備し、いつもの場所からミルクを自分の分を含め取り出す。相手は社長のお母さまではあるが、気持ちはすっかり家事代行業者になっていたので変に緊張せずにいられた。
向こうも私の様子をじっと見つめているので、もしかすると業者としての腕を確かめられているのかもしれない。