敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
すると美奈子さんの視線が持ってきていたマフィンに移った。
「これはどちらのお店のものかしら? とっても美味しそうね」
純粋な問いかけに、少しだけ答えるのをためらう。
「私の手作りなんです」
「手作り? まぁ、すごい!」
小声で答えた私に対し、美奈子さんは一際大きな声で返した。嫌味ではなく、目をキラキラさせてこちらを見てくる彼女に、なんだか逆に照れくさくなってしまう。
「よろしければ召し上がってください」
「嬉しいわ、ありがとう。でも息子に持ってきたんじゃないのかしら?」
「まだありますから、大丈夫ですよ」
そう返すと美奈子さんの顔がぱっと明るくなる。出会ったばかりでまだ少ししか会話していないが、素直で可愛らしい人だと感じる。
先に席に座ってもらい、彼女の下へ淹れたてのコーヒーと温めたマフィンを運んだ。彼女の前にコーヒーとマフィンの皿を置く。
「どうぞ、奥さま」
「奥さまなんてやめて。名前でかまわないわ。私も未希さんって呼ばせていただくから」
美奈子さんの私に対する呼び方はともかく、依頼主の母親である彼女を自分の立場でそう気安く呼んでいいものなのか。そのとき彼女の視線が、テーブルを挟んで前に向く。
「ほら、遠慮せずに未希さんも座って。疲れたでしょう? 一緒にお茶しましょう」
話を進めていく美奈子さんに、苦笑する。多少の強引さがあっても気にならないのは彼女の持つ雰囲気のおかげだろう。
「これはどちらのお店のものかしら? とっても美味しそうね」
純粋な問いかけに、少しだけ答えるのをためらう。
「私の手作りなんです」
「手作り? まぁ、すごい!」
小声で答えた私に対し、美奈子さんは一際大きな声で返した。嫌味ではなく、目をキラキラさせてこちらを見てくる彼女に、なんだか逆に照れくさくなってしまう。
「よろしければ召し上がってください」
「嬉しいわ、ありがとう。でも息子に持ってきたんじゃないのかしら?」
「まだありますから、大丈夫ですよ」
そう返すと美奈子さんの顔がぱっと明るくなる。出会ったばかりでまだ少ししか会話していないが、素直で可愛らしい人だと感じる。
先に席に座ってもらい、彼女の下へ淹れたてのコーヒーと温めたマフィンを運んだ。彼女の前にコーヒーとマフィンの皿を置く。
「どうぞ、奥さま」
「奥さまなんてやめて。名前でかまわないわ。私も未希さんって呼ばせていただくから」
美奈子さんの私に対する呼び方はともかく、依頼主の母親である彼女を自分の立場でそう気安く呼んでいいものなのか。そのとき彼女の視線が、テーブルを挟んで前に向く。
「ほら、遠慮せずに未希さんも座って。疲れたでしょう? 一緒にお茶しましょう」
話を進めていく美奈子さんに、苦笑する。多少の強引さがあっても気にならないのは彼女の持つ雰囲気のおかげだろう。