敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
私の反応に美奈子さんは、目を細めた。
「ありがとう、未希さん。あなたみたいな人がそばにいて隼人は幸せだわ」
「い、いえ。そんな」
ストレートな褒め言葉に恐縮する。しかし、どうも彼女の言い方が引っかかった。
そのときリビングのドアが開き、私と美奈子さんの視線はそちらに移る。
「母さん?」
現れたのは家主である社長で、スーツ姿の彼は母親の存在に目を丸くした。一方で美奈子さんは、わざとらしく満面の笑みを浮かべる。
「おかえりなさい、隼人。お邪魔しているわ」
「来るときは一言連絡してくれっていつも言っているだろう」
やや怒った口調で社長が返すが美奈子さんは意に介さない。私は完全な部外者なのでさっさと席を外すべきだと思うが、口を挟めずふたりのやりとりを見守ることしかできない。
「連絡したら、あなたいつも無理って断るじゃない。それに今回、私はあなたに会いに来たんじゃなくて未希さんに会いに来たんだから」
声を弾ませる美奈子さんに対し、社長は怪訝(けげん)な表情になった。急に名前を出され、私は戸惑う。
「隼人がいなかったからふたりでお茶をしていたの。未希さんの手作りのマフィンまでいただいて……。とっても美味しかったのよ。これからもっといろいろ聞こうと思っていたところだったのに……」
このタイミングでおいとましようと告げるべきだと判断し、口を開こうとする。しかし、それよりも先に美奈子さんが続けた。
「ありがとう、未希さん。あなたみたいな人がそばにいて隼人は幸せだわ」
「い、いえ。そんな」
ストレートな褒め言葉に恐縮する。しかし、どうも彼女の言い方が引っかかった。
そのときリビングのドアが開き、私と美奈子さんの視線はそちらに移る。
「母さん?」
現れたのは家主である社長で、スーツ姿の彼は母親の存在に目を丸くした。一方で美奈子さんは、わざとらしく満面の笑みを浮かべる。
「おかえりなさい、隼人。お邪魔しているわ」
「来るときは一言連絡してくれっていつも言っているだろう」
やや怒った口調で社長が返すが美奈子さんは意に介さない。私は完全な部外者なのでさっさと席を外すべきだと思うが、口を挟めずふたりのやりとりを見守ることしかできない。
「連絡したら、あなたいつも無理って断るじゃない。それに今回、私はあなたに会いに来たんじゃなくて未希さんに会いに来たんだから」
声を弾ませる美奈子さんに対し、社長は怪訝(けげん)な表情になった。急に名前を出され、私は戸惑う。
「隼人がいなかったからふたりでお茶をしていたの。未希さんの手作りのマフィンまでいただいて……。とっても美味しかったのよ。これからもっといろいろ聞こうと思っていたところだったのに……」
このタイミングでおいとましようと告げるべきだと判断し、口を開こうとする。しかし、それよりも先に美奈子さんが続けた。