敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「それで、ふたりはいつ結婚する予定なのかしら? 入籍は?」
美奈子さんの言葉に一瞬、思考が停止する。ふたり、というのは誰と誰のことなのか。社長とMitoの社長令嬢の話だろうか。それなら納得だが、美奈子さんの視線は社長と私に交互に注がれる。
「未希さんもお仕事があって忙しいとは思うけれど、こういうのは先にしっかり決めておくべきだと思うの。何度もここに足を運ぶのも大変でしょ? 早く結婚して一緒に住んだら、解決じゃない」
そこでやっと察する。どうやら美奈子さんはとんでもない勘違いをしているらしい。
「あの、奥さまっ」
「まだ付き合いはじめたばかりなんだ。もう少しじっくり考えさせてくれよ」
慌てて訂正しようとすると両肩にうしろから手を置かれ、私の発言を遮るようにして社長が返した。思わず社長を仰ぎ見たら、彼はなにかを訴えるような目で私を見てくる。
「まぁ。でもあまり悠長なこと言っていたらだめよ。あなたの都合ばかり押しつけていたら愛想を尽かされるわよ。ねぇ、未希さん」
「い、いいえ。私は……」
本当のことを話そうとしたが肩に置かれた手の力が強く、つい言いよどむ。美奈子さんは気にすることなく饒舌に続けていく。
「今までね、どんな相手を勧めてもあまり結婚に乗り気ではなかった隼人が……初めてなのよ。自分から結婚を前提に考えている相手がいるって言ってきてね」
それはMitoの社長令嬢である水戸直子さんのことなのでは?
やはり勘違いを正すべきだと意を決した瞬間、美奈子さんのスマホが音を立てた。
美奈子さんの言葉に一瞬、思考が停止する。ふたり、というのは誰と誰のことなのか。社長とMitoの社長令嬢の話だろうか。それなら納得だが、美奈子さんの視線は社長と私に交互に注がれる。
「未希さんもお仕事があって忙しいとは思うけれど、こういうのは先にしっかり決めておくべきだと思うの。何度もここに足を運ぶのも大変でしょ? 早く結婚して一緒に住んだら、解決じゃない」
そこでやっと察する。どうやら美奈子さんはとんでもない勘違いをしているらしい。
「あの、奥さまっ」
「まだ付き合いはじめたばかりなんだ。もう少しじっくり考えさせてくれよ」
慌てて訂正しようとすると両肩にうしろから手を置かれ、私の発言を遮るようにして社長が返した。思わず社長を仰ぎ見たら、彼はなにかを訴えるような目で私を見てくる。
「まぁ。でもあまり悠長なこと言っていたらだめよ。あなたの都合ばかり押しつけていたら愛想を尽かされるわよ。ねぇ、未希さん」
「い、いいえ。私は……」
本当のことを話そうとしたが肩に置かれた手の力が強く、つい言いよどむ。美奈子さんは気にすることなく饒舌に続けていく。
「今までね、どんな相手を勧めてもあまり結婚に乗り気ではなかった隼人が……初めてなのよ。自分から結婚を前提に考えている相手がいるって言ってきてね」
それはMitoの社長令嬢である水戸直子さんのことなのでは?
やはり勘違いを正すべきだと意を決した瞬間、美奈子さんのスマホが音を立てた。