敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
一連の事情を聞いて納得し、私もカップに口をつけた。ダージリンの香りが鼻をかすめ、次の瞬間、口の中が潤う。
あとはしばらくしたら社長から美奈子さんに、私と別れたと告げてもらえばいい。これで私は無関係になり問題は解決だ。そのあとどうするかは社長が決めるだろう。
そこでふと気づく。
「もしもお母さまが今日みたいに突然いらっしゃるなら、週末はこちらに来るのを控えましょうか?」
今回、美奈子さんと鉢合わせしたのが偶然だったとはいえ、一度会ってしまったからには考えなければならない。それともいっそのこと、ここの担当を誰かと代わる必要があるのか。
「沢渡さん、結婚は?」
今後についてあれこれ思いを巡らせていると、唐突に社長が尋ねてきた。世間話程度に捉えて彼を見ると、その表情は予想に反して真剣そのものだ。
「どう、でしょう。私に結婚は向いていないので」
ためらいつつ答える。こう伝えると『若いのに言い切らなくても』とか『これから素敵な出会いがあるかもよ?』とフォローされるのがオチなので、我ながら上手な切り返しができないのが歯がゆいところだ。
「向いていないって……ずいぶんはっきりと言い切るね」
虚を突かれた顔をした社長は、ややあって苦笑した。
「もしかして、結婚した経験が?」
真面目な顔で問いかけられ、そこは否定する。
あとはしばらくしたら社長から美奈子さんに、私と別れたと告げてもらえばいい。これで私は無関係になり問題は解決だ。そのあとどうするかは社長が決めるだろう。
そこでふと気づく。
「もしもお母さまが今日みたいに突然いらっしゃるなら、週末はこちらに来るのを控えましょうか?」
今回、美奈子さんと鉢合わせしたのが偶然だったとはいえ、一度会ってしまったからには考えなければならない。それともいっそのこと、ここの担当を誰かと代わる必要があるのか。
「沢渡さん、結婚は?」
今後についてあれこれ思いを巡らせていると、唐突に社長が尋ねてきた。世間話程度に捉えて彼を見ると、その表情は予想に反して真剣そのものだ。
「どう、でしょう。私に結婚は向いていないので」
ためらいつつ答える。こう伝えると『若いのに言い切らなくても』とか『これから素敵な出会いがあるかもよ?』とフォローされるのがオチなので、我ながら上手な切り返しができないのが歯がゆいところだ。
「向いていないって……ずいぶんはっきりと言い切るね」
虚を突かれた顔をした社長は、ややあって苦笑した。
「もしかして、結婚した経験が?」
真面目な顔で問いかけられ、そこは否定する。