敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「実は今日実家から持ってきた紙袋の中身、料理の本がほとんどなんです」
続けて、誤魔化すように私は明るく話す。
留守がちな母のために少しでも役に立とう、今度は褒めてもらえるようにと私は本を見ながら料理や洗濯、掃除の仕方などを覚えていった。
何度も繰り返し読んだ本の中身は、ほとんど頭の中に入っている。けれど隼人さんと結婚するにあたって、初心に返ろうと思った。
勝手なことはしない。相手の望むことだけをするんだって肝に銘じるためにも。
「そ、それでお夕飯はどうしましょうか?」
気を取り直して改めて尋ねると隼人さんの手が止まった。
「だから、オムライスだよ。未希が初めてひとりで作った料理、俺も食べてみたいんだ」
どうやら彼は本気らしい。気を使われたのかと思ったが、これ以上拒否するのは失礼だ。
「ずっと作っていなかったので……あまり味に自信はないのですが……」
この発言はプロ失格かもしれない。けれど隼人さんは笑った。
「いいよ。当時のやり方で作ったらいいんじゃないか?」
その笑顔に胸が勝手に高鳴る。彼がわからない。干渉するのもされるのも嫌じゃなかったの? それとも私がかわいそうだと思った?
続けて、誤魔化すように私は明るく話す。
留守がちな母のために少しでも役に立とう、今度は褒めてもらえるようにと私は本を見ながら料理や洗濯、掃除の仕方などを覚えていった。
何度も繰り返し読んだ本の中身は、ほとんど頭の中に入っている。けれど隼人さんと結婚するにあたって、初心に返ろうと思った。
勝手なことはしない。相手の望むことだけをするんだって肝に銘じるためにも。
「そ、それでお夕飯はどうしましょうか?」
気を取り直して改めて尋ねると隼人さんの手が止まった。
「だから、オムライスだよ。未希が初めてひとりで作った料理、俺も食べてみたいんだ」
どうやら彼は本気らしい。気を使われたのかと思ったが、これ以上拒否するのは失礼だ。
「ずっと作っていなかったので……あまり味に自信はないのですが……」
この発言はプロ失格かもしれない。けれど隼人さんは笑った。
「いいよ。当時のやり方で作ったらいいんじゃないか?」
その笑顔に胸が勝手に高鳴る。彼がわからない。干渉するのもされるのも嫌じゃなかったの? それとも私がかわいそうだと思った?