敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
 こんなに緊張して料理をするのは久しぶりだ。鶏肉を使ってフライパンで炒めてチキンライスにしようと思ったが、隼人さんの希望もあり当時の作り方でやってみる。

 お米は固めに炊いて、玉ねぎやニンジン、ハムなどの具材は一口サイズに刻んで先にレンジで火を通しておく。コンソメと砂糖、ケチャップとバターを混ぜて味付けの素になるものを作り、炊きあがったご飯とすべてを混ぜ合わせ、チキンライスならぬケチャップライスは出来上がりだ。

 もらっている食費やお給料を考えると、こんな簡単なものでいいのだろうか。

 不安になりながら固めの卵で包み、オムライスは完成だ。せっかくなのでスープとサラダも用意する。

 完成し、自室で仕事をしている隼人さんを呼びに行った。

「お、旨そうだな」

 ダイニングにやってきた彼は、用意されたオムライスを見て感想を漏らす。そう言ってもらえて一安心だが、味はまだわからない。

 席に着いた彼に飲み物はなにがいいのか尋ねる。アルコールを嗜むのかと思ったが、意外にも隼人さんはミネラルウォーターを指定してきた。

「未希は食べないのか?」

 ミネラルウォーターをグラスに注いでいると彼から尋ねられる。

「あとでいただきます。まずは隼人さん、どうぞ」

 今日の昼食は外だったからともかく、雇われている身としては、雇い主と同じように食事をするのはどうもためら躊躇われる。
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