敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「水戸さんは古くからの知り合いで、娘さんを隼人にどうかって言われて、会うように伝えたら意外にも何度か会っているみたいだから、これはうまくいくんじゃないかしらって思っていたんだけれど……。隼人から水戸のお嬢さんの話はまったく聞かないし、相変わらず仕事優先でどうなることやらって静観していたら、結婚を考えたい相手ができたって言ってきたの」
そこで美奈子さんの声と表情が格段に明るくなる。
「隼人が自分から誰かと人生を一緒に歩きたいって思ってくれて嬉しいの。ましてや未希さんみたいな素敵な人を選ぶんだもの。本当によかった」
美奈子さんの思いを知る一方で、言い知れない罪悪感が募っていく。隼人さんは誰とも人生を共に送るつもりはない。だからお金で割り切れる私を選んだのだ。
でも……。
「この婚約指輪……美奈子さんのものと同じブランドなんです」
私は左手を差し出し、薬指につけている婚約指輪を美奈子さんに見せた。ふたりで伯母に挨拶に行った日の夜、隼人さんから渡されたものだ。
母に偶然会ってマンションから返ろうとした際、隼人さんから『少し寄りたいところがある』と伝えられたのだ。断るはずもなく、気落ちしていた私はあまり深く考えず彼が車を降りて用事を済ます間も車内で待っていた。
だから隼人さんが婚約指輪を密かに用意していたなどまったく知らなかったのだ。
『未希、少しだけいいか?』
夕飯の片づけが終わるタイミングで声をかけられ、あまりにかしこまった隼人さんの様子に少しだけ緊張する。やはり母に対して思うところがあったのか。
そこで美奈子さんの声と表情が格段に明るくなる。
「隼人が自分から誰かと人生を一緒に歩きたいって思ってくれて嬉しいの。ましてや未希さんみたいな素敵な人を選ぶんだもの。本当によかった」
美奈子さんの思いを知る一方で、言い知れない罪悪感が募っていく。隼人さんは誰とも人生を共に送るつもりはない。だからお金で割り切れる私を選んだのだ。
でも……。
「この婚約指輪……美奈子さんのものと同じブランドなんです」
私は左手を差し出し、薬指につけている婚約指輪を美奈子さんに見せた。ふたりで伯母に挨拶に行った日の夜、隼人さんから渡されたものだ。
母に偶然会ってマンションから返ろうとした際、隼人さんから『少し寄りたいところがある』と伝えられたのだ。断るはずもなく、気落ちしていた私はあまり深く考えず彼が車を降りて用事を済ます間も車内で待っていた。
だから隼人さんが婚約指輪を密かに用意していたなどまったく知らなかったのだ。
『未希、少しだけいいか?』
夕飯の片づけが終わるタイミングで声をかけられ、あまりにかしこまった隼人さんの様子に少しだけ緊張する。やはり母に対して思うところがあったのか。