千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
「だから立派な男になるために、普通より厳しい学校に行ったんだ。いずれ…、国をも守るため」
くに……。
今、この時代に、そんなものを背負うために訓練する学校があるとするならば。
自衛隊や警察官、
それくらいしか思い当たらない。
「父は真面目な人だったが……よく分からない人でもあって」
悲しそうな顔をしていた。
信じたくないことを無理にでも押し込める、そんな顔。
「……私も、わからないです」
「え?」
こんなものが慰めになるかは分からない。
私はつくづく接客業には向いていない性分だと実感する。
「私は……孤児で育ちました」
どんな人なのか、どんな顔をしていたのか、名前すらも分からない。
自分の両親について知りたいと思ったときは数えきれないくらいあったし、恨んだこともあった。
引き取られた先でつらい思いをしたときは必ず、“どうして私を捨てたの”って、いつもいつも責める矛先は顔も知らない実の両親。