千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
もともとハル様は今日、「ひとりで行く」と私に告げていた。
私は差し支えなければ同行するつもりだったが、研究結果を聞かせたくないという彼の気持ちを察してうなずこうとした。
のだけれど、お嬢さんも一緒に来てくれ───と念を押してきたのはツクモさんだった。
手土産が欲しかったのかな……と、ツクモさんの喜びようを前に今になって考察。
「それで、ツクモさん。結果はどうでしたか」
はやる気持ちを抑えられないまま、さっそく切り出したハル様。
緊張と不安、小さな期待、いろんな感情が入り交じっていた。
「わりと面白い研究ができたぞ」
「おもしろい…、それは……どういう?」
面白さは人によって変わる。
感性というものは、確率性がない。
油断ならない言葉に、ハル様の眉間はぐっと寄った。