千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
「おまえさんの身体は簡単に言うと、継続的かつ強力なドーピングが起こっている状態だな」
「…どー、ぴんぐ…」
聞いたことがある。
アスリートたちが違法ドーピングをして出場停止となったと、ニュースだったりで。
スポーツからは遠い生活をしてきた私にはそれがどういうものか想像しにくいが、つよい筋力強化や一時的な肉体改造をもたらすと。
そう、それは外側から内側へと何かの手を加えることで。
「脚力、腕力、食欲。それだけじゃなく記憶力までもが人間の能力を超越しとる。それが今現在で分かっているおぬしの症状だったな」
「…はい」
「遺伝子ではなく、もともと持っていた能力の強化。それがドーピングの基本効果での」
───が。
まったくの別物を説明するように、ツクモさんの眼鏡がキラリと光った。