千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
「これは単なるドーピングではない」
今日は1度も別の資料に目を通していなかった。
むしろ彼の本題はすり変わってしまったかのように、前回から引き続いた本物の空気が流れている。
「レベルが遥かに想像以上での。いまの時代ですら再現不可能なほど、強力と見える」
「……どうやって、そんなものを…」
「作り出したんだろうな?」
「………、」
自然と起きたものではない───私ですら、ふたりの会話から読み取れた。
ハル様の少し変わった特殊体質は、誰かの手によって人為的に生み出されてしまったものなのだと。
「定春、おまえはどうしたいのだ」
「……どうしたい、とは」
「もとの身体に戻りたいか?ワシのように物質の正体を突き止めたいか?それとも……自分の身体を改造した人間を見つけて懲らしめたいか」
「…………」