千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
「雄(おす)という生き物は古来から競争社会を生き抜く狩人。反対に雌(めす)は新たな生命を産み出す恵み。
雄と雌、男と女、なぜ分かれているかと問われれば───主な役割は子孫繁栄、種族継続といったところだろう」
生物的にも、本能的にも、互いに自分が持っていないものを求め合う。
男は美しい女を、女は強い男を。
それはより濃い遺伝子を後世に繋いでいくため。
「定春。おまえの身体は、何物かのホルモン刺激によってとてつもない戦闘能力のみを蓄えた……いわば人物兵器だとワシは説いた」
唾液ひとつで、ここまで説いてしまえるツクモさん。
聞き慣れない言葉と、理解してはいけないだろう言葉と、明らかに公言できない機密情報。
私たちはただ、冷や汗を拭う思いで聞いていた。