千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
A4サイズで十分だ、私は。
私にはこれくらいがちょうどいい。
絵の具ではなく色鉛筆というところも私らしい。
思うがままに、感じるままに。
描きたいと捉えたものの輪郭が、だんだんと優しいタッチで確率されてゆく。
「きみは絵が好きなんだな」
つい夢中になってしまっていた。
そろそろ休憩も終わってしまう頃合いかと、声をかけてもらって助かった。
ドキリと脈を打つ胸と、私にだけ向けられた微笑みの幸せ。
私の絵が好きだと言ってくれたひと。
「やっぱり人物画は…、描かないのか?」
やっぱり……?
今日もあなたは不思議なことを言う。
「いろんなことを考えず描けるので…私は風景画のほうが好きなんです」
そこに止まってくれているから。
人物になってしまうと、逆に私が追いかけるに必死だ。
彼はどうして笑っているんだろう。
彼はなにを考えているのだろう。
そんなことばかりを考えてしまうだろうから、私にはきっと向いていない。