千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
ただ、描きたいと思ったものさえ見つけてしまえば話は別なのだろう。
どうしても描きたい、形に留めておきたい。
私にそう思わせてくれるこの人と、出会うまでは。
「わざわざ呼びに来てくれたんですか…?」
「ああ、いや。見当たらないと不安になってしまうから、俺が」
彼が手にしているものは、私が休憩室に置いていた軽食。
透子さんや従業員たちに聞いて探し回ってくれたのかもしれない。
「俺も一緒に食べようかと思って」
賄いを貰ってきたと、華月苑が提供しているお弁当を膝の上に広げたハル様。
ペキッとふたつに分けられた割り箸の音さえ、心地がいい。
「お仕事には慣れましたか…?」
「大方はね」
「…す、すぐにみんなと打ち解けてしまって、すごいなって思いました」
「はは。俺は普通にしているだけだよ」